実りの秋。日本酒を造る「酒米」って普通のお米と何が違う?

田んぼにも、少しずつ秋の気配・・・

まだまだ暑い日が続きますが、酷暑と言われた日々から落ち着き、朝晩の風や少しずつ短くなっていく日暮れに、秋の気配を感じる季節になってきました。(と言いたいものですが・・)

田んぼに目を向ければ、青々としていた稲も次第に色づき、やがては実りの季節を迎えることでしょう。

私たちの食卓に欠かせない「お米」ですが、日本酒もまた、お米から造られるもの。

ところで、日本酒に使われるお米と、普段私たちがご飯として食べているお米は、同じものなのでしょうか?

今回は実りの秋を前に、日本酒造りに欠かせない「酒米(さかまい)」についてご紹介します。


日本酒には、お酒造りに適したお米があります

普段私たちが食べているコシヒカリなどのお米は、炊いたときの甘みや粘り、香り、食感など、「ご飯としてのおいしさ」が大切にされています。

一方、日本酒造りでは、お米を蒸し、麹を育て、発酵させていきます。

そのため求められる性質も少し異なり、日本酒造りに特に適したお米は「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」と呼ばれています。

酒造好適米には一般的に、粒が大きい、米の中心部に「心白(しんぱく)」と呼ばれる白い部分が現れやすい、タンパク質が比較的少ない、といった特徴があります。

もちろん、すべての日本酒が酒造好適米だけで造られているわけではありません。しかし、お酒の種類や目指す味わいによってお米を選ぶことも、酒造りの大切な仕事のひとつです。


お米の真ん中にある「心白」とは?

酒米を見たとき、米粒の中心が白く見えることがあります。

これが「心白」です。

心白の部分はデンプンの構造が比較的粗く、麹菌の菌糸が入り込みやすいため、酒造りに適しているとされています。麹が米のデンプンを糖へと変え、その糖を酵母がアルコールへ変えていく日本酒造りにおいて、この性質はとても重要です。

普段は何気なく見ている一粒のお米ですが、その小さな粒の中にも、おいしい日本酒を造るための特徴が隠れているのです。


なぜ日本酒のお米は、たくさん削るのでしょう? 

日本酒のラベルを見ると、「精米歩合50%」「精米歩合60%」といった表示を見かけることがあります。

日本酒造りでは、お米の外側を削ってから使用します。

お米の外側には、タンパク質や脂質なども多く含まれています。これらも酒の味わいをつくる大切な成分ですが、多すぎると目指す香りや味わいを損なう原因になることがあります。

そこで、造りたいお酒に合わせてお米を磨き、中心部分を使って仕込んでいきます。

ちなみに「精米歩合50%」とは、お米を50%削ったという意味ではなく、玄米の重さに対して50%が残っているという意味です。

小さく磨かれた一粒一粒のお米から、日本酒の香りや味わいがつくられていきます。

造りたいお酒の特徴によって、精米歩合は変わります。精米歩合の多少が


お酒の良し悪しを決めるわけではありません

精米歩合

三重県生まれの酒米「神の穂」

酒米にもさまざまな品種があります。

全国的に有名なもののひとつが「山田錦」。そして三重県には、県が開発した酒造好適米「神の穂(かみのほ)」があります。三重県では、県内の酒蔵から「地元で生産された酒米でお酒を仕込みたい」という声を受け、「神の穂」を開発しました。

三重県は「神の穂」から造られる日本酒について、うまみのある、やさしい味わいになることを特徴として紹介しています。

お米が育つ土地と、そのお米から酒を醸す酒蔵が同じ地域にある。

地酒のおもしろさは、そんなところにもあります。


明和町で育った「神の穂」から生まれる日本酒

旭酒造のある三重県多気郡明和町にも、豊かな田園風景が広がっています。

旭酒造では、日本酒造りに「山田錦」や三重県産の「神の穂」を使用しています。

また、明和町、皇學館大学、地元の農家などと連携して生まれた日本酒「神都の祈り」にも、明和町で育てられた「神の穂」が使われています。田んぼで育った酒米が収穫され、蔵へ運ばれ、酒へと姿を変えていく。まさに地域の恵みを一杯に込めた日本酒です。

普段、日本酒を飲むときには、完成した瓶の中のお酒に目が向きがちです。

けれど、その始まりをたどれば、一粒のお米。そして、そのお米が育つ一枚の田んぼへと行き着きます。


実りの季節、日本酒の「お米」にも思いを馳せて

秋は、新米をはじめ、お米のおいしさを改めて感じる季節です。
炊きたてのご飯を味わうのはもちろん、今年は日本酒を飲むときにも、ラベルに書かれた原料米や酒米の名前を少し眺めてみてはいかがでしょうか。

「このお酒は、どんなお米からできているんだろう?」

そんなことを知ってから味わってみると、いつもの一杯にも、また違った楽しみが生まれるかもしれません。
明和町の田んぼで育つ米、伊勢平野を潤す水、そして蔵人の手仕事。
実りの秋、一杯の日本酒の向こうにある田園風景にも思いを馳せながら、ゆっくりと味わってみてください。

※お酒は20歳になってから。飲酒運転は絶対におやめください。

※ブログ記事に掲載されているイラスト・写真は全てイメージです